【令和8年度改正】年収700万世帯が直面する「665万円の壁」と住宅ローン控除の勝ち筋
2026年(令和8年)から始まる税制改正において、最も注目すべきは「178万円の壁(非課税枠)」ですが、中堅所得層にとってより重要なキーワードが「665万円の壁」です。
これは基礎控除の大幅な上乗せが受けられる「年収の上限ライン」を指します。年収700万円世帯は、この新しい減税ルールと、強力な節税武器である「住宅ローン控除」が組み合わさることで、家計の転換期を迎えます。
1. そもそも「665万円の壁」とは何か?
今回の改正では、物価高対策として所得税の基礎控除が大幅に引き上げられます。その最大額を受けられるのが年収665万円以下の層です。
年収700万円のご主人はこの壁を少し超えますが、改正後の制度でもなだらかに控除額が調整されるため、依然として大きな減税を受けられます。所得税を計算する前の控除額が、これまでより約60万円前後増える見込みです。
改正による控除枠アップで手取りのベースが増えるイメージ
2. 住宅ローン控除との「枠の奪い合い」が激化する
ここで問題になるのが、住宅ローン控除との兼ね合いです。年収700万円で3,000万円超のローンがある場合、これまでは約34万円の所得税から22万円の控除を引いて「残り12万円の納税」という状態でした。
しかし、2026年以降は大減税により、ローン控除を引く前の所得税そのものが20万円程度まで下がります。
【2026年以降の計算イメージ】
所得税(約20万) - ローン控除(22万) = 所得税 0円(全額還付)
つまり、ご主人の所得税という「枠」が、減税制度によって使い切られてしまうのです。
住宅ローン控除だけで枠がいっぱいになる現象
3. 生命保険料控除は「妻」へ移して手取りを上乗せ
ご主人の所得税がすでにゼロになる状況で、生命保険の控除証明書をご主人の年末調整に出しても、1円も戻ってきません。引ききれない控除は消えてしまいます。
一方で、奥様(年収300万円)は所得税を支払っています。この「余っている保険料控除」を奥様側で申請すれば、奥様の税金が安くなり、世帯全体での還付金が増えることになります。
控除の申請先を「夫から妻へ」切り替えるのが鍵
4. 住民税の「パンク」に備えるふるさと納税戦略
所得税で引ききれなかったローン控除は住民税から引かれますが、これには「上限」があります。ふるさと納税を限度額いっぱいまでやってしまうと、住民税の枠がパンクし、自己負担が増えるリスクがあります。
【2026年からの黄金比】
・夫名義:住民税の枠を空けておくため、寄付は5万円程度に抑える。
・妻名義:枠が余っているため、3〜4万円分を妻名義で寄付する。
まとめ:年収700万世帯の「新・三種の神器」
- ご主人の所得税は「基礎控除アップ+ローン控除」でゼロにする。
- 生命保険などの控除はすべて「奥様」側で申請して現金化する。
- ふるさと納税は「夫婦の枠を使い分ける」ハイブリッド運用へ。
制度が変われば、申請先を夫から妻へ「スイッチ」するだけで、手元に残る現金は年間で数万円変わってきます。2026年への準備を今から始めましょう。



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